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No books, No life

最近読んだ本のレビューをしています

No.25 「沖縄文化論」

沖縄文化論 岡本太郎著を読みました。

 

この本は1996年に出版された本です。少し古めです。しかし毎日出版文化賞を受賞しており、2世代ほどのジェネレーションギャップがある僕でもとても面白いと感じました。

 

  • なぜこの本を手に取ったのか

書き出しの話につたれたからです。父の事業がうまくいかなくなり、母親と離婚した家庭の息子が自ら父親に殺してほしいと請い、父親が息子を手にかけるという話をどうとらえるのか?という書き出しでした。

 

私はもちろん、酷いとは思いつつ、息子の献身に切ない美しさを感じました。本書上でも息子の献身の美しさを指摘していたので、共感度が高く、どんな本なのか興味が湧きました。

 

  • 実際読んでみて

この本の目的は沖縄の文化を見直し、日本の文化を捉え直す、ことです。沖縄の文化としては、御嶽、古くから伝わる琉球舞踊などが取り上げられています。これらの文化的な営みはすべて生活と密接に関わっています。古くから本州側の役人に税金を納める立場であった沖縄の人たちは台風などの自然災害によって、自分達の生活を害されることがありました。大切に育てていた農作物も台風の暴風雨によってダメになることがあったわけです。これをなんとか防ごうと、御嶽でお祈りを始めたり、豊作を祝い、来年の豊作を願う、琉球舞踊が行われるようになったのです。

 

対して日本文化として私たちが想像するものは京都の金閣寺銀閣寺、奈良の大仏といったものが大半ではないでしょうか。本書ではこれらを日本の文化ではないと切り捨てています。その理由は日本人の生活に根ざしていないからです。これらは中国から伝えられた仏教の影響で作られたに過ぎず、日本人が生活に必要であるから作ったものではない、という点で生活に根ざしたものではない、との記述されていました。

 

日本では地震や火山の噴火などの自然災害で家が壊れたり、食料を捕球できなくなることがありました。そこで自分ではどうしようもできない事態に直面することで世の中に対する無常観が培われてきました。この日本人の根底にある価値観は「生活に向き合ったから」こそ生まれたものであり、今も沖縄の人たちに親しまれている沖縄文化は私たちの忘れかけている姿勢を呼び起こしてくれるものです。文化と対峙する面白さを知ることができました。