No.22「理科系の作文技術」
理科系の作文技術、木下是雄著を読みました。
物理学者である著者が簡潔にわかりやすく伝えるための文章の書き方を記した本です。
内容としては日本語の構造、意見と事実の違いについて論じています。
日本語の構造
日本語の特徴として、主語と述部が離れやすいという特徴があります。
例えば、
私は今パソコンで記事を書いています。
では私はが主語、記事を書いています、が述部です。
一方、英語は
I am writing an article with my laptop.
となり、主語である、I、述部である、wtiting an articleは日本語に比べて近くにあります。
そのため、誰が何をしたのかが、という文の根幹をつかむまでに時間がかかります。
事実と意見の違い
意見と事実を見分けることができているか確かめるために一つ質問です。
どちらが意見でどちらが事実でしょうか。
①扇風機にホコリが付いている
②扇風機は汚い
①は事実で、②は意見です。
事実とは
a:自然に起こる事象:過去に起こった、人間の関与した事件などの記述で
b:しかるべきテストや調査によって真偽を客観的に確認できるもの
P.104
とこの本では定義されています。
①の場合、扇風機のフレームを指でなぞれば確認できるでしょうが、②の場合、確認のしようがありません。
よって①は事実、②は意見であることがわかります。
おすすめ度 ★★★
大学教師が薦める100冊にも載っているです。他にもわかりやすく文章を書くために、重点先行主義、パラグラフの作り方、一文を短く書くコツなどが紹介されています。面白いので是非読んでみてください。
No 21「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」
スタンフォードのストレスを力に変える教科書 ゲリーマグゴナガル著を読みました。
この本はストレスは体に悪いという思い込みを覆してくれるものです。私はプレッシャーに弱いです。しかしこの本を読んでからはプレッシャーは自分が成長しようと努力しているからこそ感じるものだと考えることができるようになりました。ストレスは体に悪いものでなく、自分の成長を助ける効果もあることに気が付いたからです。このようにポジティブにプレッシャーを捉えることができるようになったことで以前よりもプレッシャーに弱いと感じることは少なくなりました。
なぜ、この本を読んで、私のプレッシャーに対する認識は変わったのでしょうか。それはこの本が心理学における理論を用いてるからです。そのため私たちの中にあるマインドセットを変えることがどれだけ私たちの生活にいい影響を与えるかに納得することができます。
この本に書かれてることは大きく分けて三つです。一つはストレスが体の中でポジティブに作用している側面、二つ目にストレスに対して体はどのように反応するか、最後にストレスとどのように向き合えば私たちはストレスを味方につけることができるのかについてです。中でも、困難な目標に直面した時の私のストレスの感じ方について大きく影響を及ぼした例について紹介します。
その前に一つ質問があります。ストレスに対してあなたはどのようなイメージを持っていますか。ストレスは体に悪い、ストレスを溜めすぎるとうつ病になる、などネガティブなイメージを持っていませんか。一方でプロのスポーツ選手が試合の前日会見において緊張はするものの、試合をすることに対してワクワクしているとコメントしていることを聞いたことはありませんか。例えばウサインボルト選手はこのリオ・オリンピックの期間中、プレッシャーのせいか他の選手に追いかけられる夢を見ていたそうです。しかし彼は今まで世界選手権やオリンピックのような重要な大会においてシーズンベストを出し、優勝してきました。つまり、「俺はできる」という思いが彼の中にあったことが推測されます。結果、彼はシーズンベストで優勝を果たしオリンピック3連覇を達成しました。
この例から私が言いたいことは、人間にはストレスに対して打ち勝つ力が備わっているということです。科学的にもストレスには集中力やあきらめない力を生み出す体の成分を生み出す効果があることが実証されています(この本の本文参照)。人はストレスを感じた時に誰かをいたわったり、逆境をチャンスだと捉えたりすることで、困難に立ち向かう力を得ることができるのです。ストレス反応の中には、困難から逃げるものもあります。これは原始時代にはライオンなどに襲われることがあったために必要な反応でした。その名残で今も残っています。
この本ではストレスのいい面に目を向けることを勧めています。なぜなら自己肯定感や達成感を味わうことで、幸福感を感じることができるからです。もちろん人生にはあらゆる辛く苦しいことがありますが、「これを乗り越えれば成長できる」、「これができたらこの人の悩みを解決することができる」と考え、自分がしていることと社会という自分よりも大きなものとのつながりを見つけることができた時、人はそれを自分が成す意味を見つけることができ、困難に立ち向かう力が湧いてくるそうです。
あなたが今、とても難しい局面にいるなら、読んで後悔しない本です。
NO.20「ロスジェネの逆襲」
ロスジェネの逆襲 池井戸潤 を読みました。
半沢直樹の続編です。
銀行員であった半沢直樹は証券会社に出向になります。
しかし銀行に証券会社が依頼された企業買収の案件を横取りされてしまいます。そこで証券は買収のターゲットとなった会社のアドバイザーとなって買収対策をサポートとしていきます。
つまり、銀行と真っ向勝負です。
この本では多くの登場人物は5つのグループに分けられます。
一つは半沢の所属する証券会社のグループ。主なメンバーとしては
二つ目に銀行のグループ。
三つ目に敵対的買収を仕掛けられる東京スパイラル。
四つ目にフォックスというIT会社。
五つ目に敵対的買収を仕掛ける電脳。
金を目的にしているのか、はたまた世のため人のためになるサービスを提供しようと思って会社を経営しているのか、それとも社員を守っていくために経営をしているのか、出世のためなのか、社会の不公平さを正すためなのか、人それぞれ働く目的は違います。あわよくば結果を出しても目的を達成しても嫉妬や妬み嫉みとも戦わなければなりません。
物語の終盤で半沢が残した一言が心に残りました。
「戦え、森山」「そして俺も戦う。誰かがそうやって戦っている以上、世の中は捨てたもんじゃない。そう信じることが大切なんじゃないだろうか」P.367 13〜15行
社会に対して不満を言うのではなく、その理不尽を解決するために"戦う"。自分の信念を守るために仕事をする半沢には人間としての深みを感じました。
NO. 19「思考の整理学」
思考の整理学 1985年、ちくま書房、外山滋比古 著を読みました。
アイディアが出てくる環境というテーマで様々な事例を取り上げています。
例えば、発酵する事の重要性です。
いいなと思ったアイディアを1日置いた後にもう一度眺めてみる。そうするとそのアイディアが実は大した事がないなと感じる事も多いそうです。1日置いた後でもいいアイディアだなと思えるものには形になるような比較的有用なアイディアが多いそう。この1日寝かせる事を発酵させると表現しています。
他にも関心事とは関係のないことをしている時に関心事に関するアイディアが思い浮かんだり、思いついたアイディアをノートにまとめることの重要性を論じていました。
中でも特に印象に残ったことは、知ることについての記述です。
知ることとは三つのパターンに分けられるそう。
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1、すでに知っていることを学ぶ
2、 まだ知らないことを学ぶ
3、 全く知らない世界のことを学ぶ
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1のパターンと2、3のパターンを区別することは難しいです。例えば、物語を読んでいたとして、すでに知っていることの中に、今は知らないことが混ざっている場合があります。随筆などでもそうでしょう。人の話も言っていることがわからない時とわかる時とありますよね。そんな時に私たちはどうするか。
「“解釈”によってどこまで既知の延長線上の未知がわかるものか。その先に想像力と直観の飛翔によってのみとらえられる発見の意味があるのか」
このように自分なりに未知の領域について理解を深めようとするそう。
例えばピザを回して楽しんでいる男の話があったとしましょう。
あなたはピザを回す男をどう捉えますか。
人に頼まれたピザをくるくる回すなんて失礼なやつだと思いますか。
それともおいしそうなピザだぁと思いますか。
それともうまくピザを回すな。綺麗だな。
と思いますか。
人によって物事の解釈はそれぞれです。そしてこの解釈のぶつかりあいが思考のぶつかりあいであり、より良いものを生み出す過程であるのです。
No. 18「自分の価値を最大にする ハーバードの心理学講義」
自分の価値を最大にする ハーバードの心理学講義 ブライン R リトル(児島修 訳)
を読みました。
この本の内容は大きく四つに分かれます。
最初のパートは自分の性格について。
次のパートはモチベーションについて。
その次のパートはハーディネスと自分を追い詰めてしまう努力家の違いについて。
最後はクリエイティビティについてです。
どうすれば幸せなのかを考えるためには他の人からの印象である社会的な自分だけでなく、自分が見ている自分についても深く知る必要があると感じました。
私たちの行動指標となっているものには、
遺伝的動機
社会的動機
パーソナル目標
の三つがあります。
社会的自分の評価に直結してるものは社会的動機です。社会的動機とは社会から求められる要求を満たすことであり、例えば、会社に朝の10時までに出社する、毎日朝礼を行う、というようなことが例としてあげられます。これを守らなければ社会人としての自信の評価の低下を招くことになります。
遺伝的動機とは自分が生来持っている欲求です。この本で紹介されるものを例にとれば、内向的な性格の人が家で一人机に座り読書を行うことなどがあげられます。これはその人の持つ性格によって変わります。
最後にパーソナル目標はその人の人生の目標です。例えば、1000万円の年収を稼ぐ、自分の会社を持つ、といったことがあげられます。
この本の著者によれば、人は生来生まれ持った性格にそぐわない行動でもパーソナル目標の達成のためであれば、とることができると主張しています。
この教授は内向的な教授だそうですが、大勢の生徒の前では大きな声で話し、人を惹きつけるような堂々とした立ち居振る舞いをすることができます。自身の仕事の遂行のために、自分とは違うパーソナリティを演じることができるのです。
しかし、自分の生来の性格に合わない行動をとることは身体に負担のかかることです。そのために休息をとる必要性を語っており、パーソナリティにあった行動をとることを勧めています。例えばこの教授であれば午前と午後の授業の合間に個室のトイレで休んでいたそうです。
他人から見ればそのひとがどんな目標を持ってその行動をとっているのかどうかはわかりにくいことであると感じています。この傾向は年をとればとるほど強くなっていくもののように思えます。しかし、ある行動がこの三つの動機のすべてを満たすような場合は少ないことだと感じています。会社ではAの仕事をやれと言われているけど、自分が実際にやりたいことはBの仕事で、そのBの仕事は自分の将来のこんな目標を達成するためにあります。みたいな状態はよくある話なのではないでしょうか。つまり、他人からは幸せだと思われている人が実は自分から見た自分は幸せではないと感じることはあり得る話なのではないかということです。
もちろん、この三つが満たされている仕事も多いとは思います。ただ今の自分は幸せなのかと疑問にもつ方がいれば、自分の状況を整理することに役立つと思います。
No. 17「アメリカ大統領選近いし、ドナルドトランプ氏の自伝を読んでみた」
ドナルドトランプの自伝を読んでみた。
アメリカの大統領選が近いということでドナルドトランプの自伝を読んでみました。
目的は二つあります。
1 ドナルドトランプの人気の秘密を探る
2 結果を残す人の仕事の取り組み方を知りたい
この2点について読んでわかったことを書きたいと思います。
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彼が役人仕事の官公庁の体質を変えてくれると信じているからです。
そしてこのような印象を彼が与えた決定的な出来事がウォルマンリンク建設を成功させたことだと思いました。
ウォルマンリンクはニューヨークにあるスケートリンクであり、市が6年かかっても建設できなかったところをわずか4か月でトランプは成し遂げたのでした。
成功の要因は二つです。
1 コネがあったこと
2 彼自身が建物を期限とコストを守って建設する力に優れていること
当時、トランプタワーやグランドハイアットのビルの建設を成功させていました。優良なデベロッパーと大金持ちであるというステータスを持っており、各界の要人に顔が効く存在であったトランプ氏はウォルマンのリンクが数年も建設中であるという事実に疑問を持ち、自分が建設費を肩代わりするという条件で手がけることを市に対して申し出ました。市はこれを承諾。トランプ氏はカナダの建設会社の中でスケートリンク建設に関するトップの会社に建設を依頼し、自分が現場監督として建設にあたりました。父が住宅建設の会社を手がけていたこと影響で、建築に関して興味と関心を持ち知識を深めていったトランプ氏は建物を期限とコストを守って建設することに関しては失敗がありません。(自伝内で書かれていることに限り) 時には現場に赴き、大工たちを叱咤激励し、建設会社との費用交渉も培った知識と持ち前の交渉力を武器に最低限のコストで抑える。このような姿勢の結果、トランプ氏は4か月での建設を成し遂げたのでした。
この一件はウォールストリートジャーナルやニューヨークタイムズを初めする多くのマスメディアに「無能な官公庁と有能な民間」を象徴する一件として伝えられました。こうしてトランプは優秀なたたき上げの人間として人々に認知されるようになったのです。
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一般化することは難しいと感じたので、トランプ氏が仕事をどのように捉えているのか、また交渉のキーポイントとは何かという点について書かれていた事をまとめます。
1 仕事は楽しむものである
2 取引をするときは常に優位に立て
3 人として魅力的であれ。
4 野心的であれ。
5 ブランディングにこだわれ
トランプ氏は大きな取引をする仕事が好きなそうです。父の小さな住宅の会社を継ぐという選択肢もありましたが、デベロッパーとして大きな建物を作る事に魅力を感じ、ニューヨークで事業を始めました。
最初は実績がないため、まずはコネを作ることが重要だと考えたトランプ氏はニューヨークの社交界に入会することを試みました。堂々とした振る舞い、壮大な夢を語る、人に気に入られる魅力で社交界に入会すると、今度は建物建設のための土地を探し始めました。当初は銀行からお金を借りれず、土地も買えないという悪循環でしたが、建築に関する知識と持ち前の交渉力で案件を獲得していきました。それがグランドハイアットとトランプタワーの建設であり、グランドハイアットとはガラス張りの斬新なデザインで、トランプタワーは世界一高いビルという点で注目を集めました。
タフな交渉を好み、新規性や話題性、愛されるキャラクターを兼ね備えたトランプ氏は大金持ちになったのでした。最低限、自分の取組んでいる仕事に誇りを持つことは仕事で結果を出すために重要なことであるように思います。
また大きな取引が楽しいというトランプ氏の性質がアメリカ大統領選挙への立候補のきっかけになったのかなと思いました。ウォルマンスケートのリンクの一件については「市民がスケートを楽しむ場を作るために尽力したいと思ったことを語っており、不況にあえぐアメリカを救おうという思いも動機にあったのかもしれません。
他にもカジノ建設やアメリカんフットボールリーグクラブの買収などにも取り組んでおり、お金を儲けたいという欲が強いことは間違いありません。ただお金を儲けたいという思いは普通の感情であるし、特別に悪いことだと指摘する必要はないと思います。トランプ氏を金の亡者悪人ではなく、アメリカの救世主として見る人の気持ちも話からないではないと思いました。
No.16「役員になれる人の日経新聞の読み方」
役員になれる人の日経新聞の読み方
役員になれる人の日経新聞の読み方 田中慎一著を読みました。
損益計算書やバランスシートの面から企業がどのようにしてお金を儲けようとしているのかを分かりやすく解説しており、経済全体の動向についても日経新聞を使って効率的に情報収集できることがわかりました。
企業がお金を儲けようとする時に考えることは四つです。
売上個数を上げる
売上原価を抑える
価格を上げる
固定費を削減する
この四つです。例えばリストラは損益計算書の中でも右側にある費用の中にある固定費を減らす取り組みです。費用と純利益を足せば粗利になるため、費用が減れば、利益は増えます。このようにして損益計算書の右側を改善していく取り組みの一つにリストラがあるわけです。
上記四つの取り組みに日経新聞のニュースを分類していくと、企業がどのような狙いを持ってその行動をとったのかがわかります。たとえばマクドナルドが出店数を増やしたのであれば売上個数を増やそうとしているのであり、新メニューのアメリカ、ジャパンのバーガーは顧客の単価を上げるための取り組みであることがわかります。
このような企業の経済活動はどうやって評価されているのでしょうか。その指標の一つとしてROAガあります。これは売上に占める利益の割合です。このROAを見て、企業の生産性を評価しているのです。また上記の四つの観点でROAを分解してみると、企業のキャラがわかると本書では論じています。例えば、売り上げのうち、売上原価、つまりコストの割合が低いのであれば、この企業はコストカットが上手な企業なんだなというように読み取ることができます。
こんな感じで日経新聞を見て、実際にその作戦がうまくいくのかを検証してみて、その会社の成績がどのようになっていくのかについて仮説を立てることができます。この仮説について討論を交わすことができるように日経新聞を読むことが役員になれる人の日経新聞の読み方なのかなと感じました。
また会社の業績を予想するために必須な市場の動向を得る指標として先行指数、遅行指数があります。先行指数は例えば消費者株価物価指数や、女性の消費動向などが挙げられていました。遅行指数にはおじさんの消費動向などが挙げられていました。また為替によって株価は影響されますので、海外マーケットや政治情勢、税金、国の財政状況とも無関係ではありません。
何かと幅広く情報が載っていて経済新聞とかいうけど経済のこと以外も載ってるやんとガキの僕は思っていましたが、考えが甘かったですね。そんな浅学な僕にもわかりやすく書いてあったので、経済全くわからんよ!って人にもオススメです。